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アタシは馴染みのお店を見つけるとそこ以外行きたくなくなる。
数日前に愛用の自転車の前籠を支えるステンレス製の棒が折れた。
経年劣化。よく考えたらもう8年も乗ってる自転車。
本来その支柱で支えなければいけない籠が前輪タイヤで支えている状態で、数日乗っていた。折れた支柱が別の部品にあたりカシャンカシャンとうるさいし、お弁当やら水筒やらを入れたカバンごと前籠が脱落するのも時間の問題。でも「馴染みの自転車屋」があるのでやっぱりそこ以外行きたくない。
今日、やっと時間が出来たので馴染みの自転車屋さんに。
青いツナギを着たおじちゃんが店の前でしゃがみこんでタバコを吸っていた。
「おっちゃん、棒が折れちゃってん」
「おっしゃ、すぐ直したろ」
おっちゃんはすぐに自転車を店の中に運んで作業開始。
「籠はな、これにしとき。これめっちゃ丈夫やから。で、支柱はおっちゃんとこにあるやつ使っとき」と新品の籠と、きっと他の自転車からバラした支柱を取り出してきた。
「これは長すぎるな。こっちやったらいけるな」ちゃんとアタシの自転車に合うものを選んでくれる。
「これが折れるんはな、籠がいがんでるからやねん。丈夫な籠つけたらもう折れへんからな」と手際よく作業をしてくれる。
あっという間に取り付け完了。
「お、空気入れとったろ。あ、虫ゴムがあかんなってるな。代えとったるわ。夏は暑いからすぐあかんなるんやわ。これで安心やで」モチロン虫ゴムやらはサービスなのです。
一番最初に来たのは何年前だったか?タイヤがパンクしたとき。他の店で何回修理してもパンクしたタイヤ。
「これはタイヤごと代えんと無理やで。他の店では言われへんかったか?」うん、言われたことないよ。
「おっちゃんは嘘つかへん。いうとおりにしとき。これはもうゴムがあかんねん。あ、でも前輪は大丈夫や。後輪だけ代えとき」そう言って後輪と、ブレーキゴムと動きにくくなってた鍵とベルも代えてくれた。請求されたのはタイヤ代だけ。
「おねえちゃん、前鍵が好きって珍しいな。今はほとんど後ろ鍵やで?前鍵でええんやったらようさん余ってるから付けたるわ。今時、前鍵は嫌がられるんや。ベルも紫でええか?これも余ってるねん」そんな感じ。
ちゃんとメンテナンスしてくれて
「気いつけて仕事行きや」と送り出してくれるおじちゃん。
「この自転車も喜んでるわ。ちゃんと直して使ってくれるんやからな」
そういわれるとなんだか来てよかったって思えるのです。
現在62歳。暑いけど元気でがんばってもらわないと困っちゃいます。